2015年8月8日土曜日

進撃の巨人 ATTACK ON TITAN



2015年/日本/98分
監督 樋口真嗣
原作 諌山剣
脚本 渡辺雄介、町山智浩
撮影 江原祥二
音楽 鷺巣詩郎
主題歌 SEKAI NO OWARI
出演 三浦春馬、長谷川博己、水原希子、本郷奏多、三浦貴大、桜庭ななみ、松尾諭、渡部秀、水崎綾女、武田梨奈、石原さとみ、ピエール瀧、國村隼

事前に監督・プロデューサーのTwitterの炎上騒ぎ、某ブログでのこき下ろしや、某レビューサイトでの荒れっぷりを耳目にしており、また予告編でのそこはかとない悪い予感なども抱きつつ、あんまり気が進まない中での鑑賞でした。

何が腹立ったってですね、映画の内容もさることながら、隣の座席の女性がさほど暑くもない館内の中、始終うちわでぱたぱたやっててうるさいのと仰いだ風がこちらにあたるのでいらいらしていたところに、挙げ句スマホを触りだしたんですよ。さすがに注意しましたけれど、巨人化してぼりぼりと喰ってやりたいところでしたね。

「上映中にスマホを触るやつら……駆逐してやる!この世から……一匹残らず!」


上映中のマナーを守りましょう。巨人に喰われるよ。

それはさておき、映画の感想ですが下馬評通りの代物で、それ以上でもそれ以下でもないという感じです。ぼくは特撮に関してそれほど懐が深くなく、ノスタルジックな思い入れもないのですが、そこに関してはまあ良しとしたいんですね。巨人が悪ふざけしているお笑い芸人にしか見えない、立体起動装置がもっさい、あんだけ落石あったらぜんぜん当たるだろとか色々と突っ込みどころはありますが、超大型巨人や巨人化したエレンなんかは迫力があって格好良かったと思いますし、これはバジェットと技術力に拠るところが大きいわけですから「邦画としては」って言う括弧つきで承っておく部分なんだろうと思います。

ただ、こんなところで、しかも何度も引き合いに出して大変に恐縮なのですが『マッドマックス 怒りのデス・ロード』が滅法面白いのはビッグバジェットだからなのかというと全くそんなことはないですよね。じゃあ、何だと言われるとそれは脚本なり演出なりディテールへの拘りなり、いわゆる製作陣の「真摯さ」だと思うのです。

原作は以前、人に勧められて10巻くらいまでを単行本で一気読みしたのですが、非常に面白くはあったものの、いわゆる原作ファンの方とは立場を異にします。原作の実写化にあたってオリジナルの改変を入れるのはやぶさかではありませんし、むしろあれだけのスケールのものを前後編に分かれるとは言え限られた時間の中で、しかも実写で映画化するというのは製作者側にそれ相当の覚悟と手腕が試されるものでしょう。

そういう意味では今作は特に人物の設定や動機付けと相関関係、ドラマパートの演出を含めた脚本に非常に難があるように感じました。実写映画化にあたってのオリジナリティがとても功を奏しているとは言えず、なんでそこで突然セックス?とかシキシマさんリンゴを食べると歯ぐきから血が出ませんか?とか巨人は音に敏感だっつーのに調査兵団ぎゃーぎゃーうるさいよ!とかエレン、ミカサが生きてたんだからもうそれで良いんじゃね?とかとにかく頭の中がノイズでいっぱいになっちゃって。

役者陣は頑張っていたと思います。ハンジ役の石原さとみはもちろん出色の演技なのですが、いろいろ言われている水原希子も許容範囲でしたし、エレン役の三浦春馬をはじめ、皆さんこの映画に対する一生懸命な思いが伝わってきました。「真摯さ」を感じましたよ。アルミン役の本郷奏多と三浦春馬の区別がおじさんにはイマイチつかなかったですけれど。あと武田梨奈は完全に無駄遣いです。アクションさせろよ!

面白くしようと思えばいくらでももっと面白くなる!製作陣に原作へのリスペクトと映画作りに対する「真摯さ」が足りないんじゃ!もったいないなあと、お前誰なんだという超上から目線のまとめで筆を置きたいと思います。乗りかかった船で後編も観なきゃいけないんでしょうけれど、なんだかめんどくさいな…。

石原さとみ、今作の炎上騒動に対するLINEの公式アカウントでの発言でも株を上げたようですね。ハンジ役、見事にはまっていました(単にぼくが石原さとみが好みなのでバイアスがかかっているという話もありますが…)。