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2015年2月6日金曜日

薄氷の殺人


白日焰火 Black Coal ,Thin Ice/2014年/中国・香港合作/106分
監督 ディアオ・イーナン
脚本 ディアオ・イーナン
撮影 トン・ジーソン
音楽 ウェン・ジー
出演 リャオ・ファン、グイ・ルンメイ、ワン・シュエビン、ワン・ジンチュン

鑑賞後、帰り道すがらコンビニで肉まんを買い食いしちゃいました。あの、スープとかお粥とかも旨そうで…。

今作、事前にベルリン国際映画祭で金熊賞、銀熊賞のダブル授賞、気鋭のディアオ・イーナン監督7年ぶりの長編で話題の作品との情報を仕入れておりまして。

冒頭のトンネルを走る石炭を積んだトラックを捉えたカメラワークから、イントロダクションの事件発覚に至るまでの描写で「これは、いいぞ」と食い入り気味、そして、あの美容室での銃撃戦のシークエンスでテンションマックスでした。

固定されたカメラに長回しでまさかの展開。「ちょっと、今のシーンもう一回見せて」と何度も見たくなる衝撃の出来映えでした。ぼくとしては北野武監督の『ソナチネ』でのスナック銃撃戦やエレベーター銃撃戦、あるいは『HANA-BI』での駅構内銃撃戦と比肩するくらいに震えました。

ただ、ここが自分的にピークだったようで、お話そのものは火曜サスペンス的と言うかそれほどグッとこず、グイ・ルンメイさんも綺麗だなあとは思うものの意味ありげすぎてちょっと乗れず。銀熊賞を受賞した主演のリャオ・ファンさんは、同じく同賞を授賞した浅野忠信補正が入っていささかノイジーだったりと後半に向けて雑念が入り乱れた鑑賞となりました。

とにかく、あのやたら出てくる肉まんとかお粥とかスープがひたすら旨そうで、それがうらやましくてしょうがなかったです。主人公の食べっぷりがまた良いんですよね。

映画自体のパワーはものすごく感じました。力強い画面作りと幻想的な色使い、俳優さんの気の入った演技でラストまでぐいぐいと引っ張っていかれましたし、ミステリー要素は薄いものの人間の業の深さはしっかりと描かれていて、それが交錯する観覧車のシーンは秀逸でした。
画面から、厳しい冬の寒さがひしひしと伝わってきたのも良い塩梅でした。

ラスト、原題の「白昼の花火」を象徴する一幕、ここでもジャンとウー・ジージェンが顔を合わせないながらもその思いが交錯し、そして、思い切りの良い幕の引き方で、ずっしりと重くのしかかりながらも清涼感がありました。エンドロールの音楽、ちょっとダサくてびっくりしましたけれど。

ここから怒涛の展開。このシークエンスだけでも観る価値アリです。

2014年12月6日土曜日

西遊記~はじまりのはじまり~


西遊 降魔篇/2013年/中国/110分
監督 チャウ・シンチー
共同監督 デレク・クォック
脚本 チャウ・シンチー、デレク・クォック 他
撮影 チョイ・サンフェイ
音楽 レイモンド・ウォン
出演 スー・チー、ウェン・ジャン、ホアン・ボー、ショウ・ルオ

チャウ・シンチー監督作品は以前にDVDで「少林サッカー」を鑑賞したのみ。今作を観て改めて感じたのですが、この人のウェットな演出や、いささかグロテスクなユーモアがどうも肌に合わず、非常に娯楽性に富んだ作品だと評価する一方、苦手意識が消えませんでした。

ご存知、西遊記のエピソードゼロと言うことでアイデア溢れ、妖怪ハンター達のキャラクターも面白いのですが(空虚王子がお気に入りでした)、玄奘三蔵が旅立つまで市井の人から身近な人まで随分と人が死んじゃってなんだか重い話だな…と。あと、あんなにホモセクシャルをバカにするのはポリティカルコレクト的にどうなんだと思ったりして、鑑賞中、雑音が多かったですね。

頼みの綱の孫悟空も人間の姿をしていた時はその人物像を含めて笑える感じで良かったのですが、猿になってからは造形的にぜんぜん格好良くなくて、堺正章にシビれてその辺の棒っきれを振り回し、「如意棒!」とかやってた世代としてはちょっとがっかりでした。
沙悟浄や猪八戒のルックスもイマイチ(西田敏行と岸部シローに思い入れが強すぎるのかも知れません)。

チャウ・シンチー監督のサービス精神旺盛な持ち味で様々なファクターをたっぷりと詰め込んだ今作、詰め込みすぎか間延び感。もうちょっとテンポ良く運んでくれると楽しめたかもしれませんが、ぼくには上映時間の110分がいささか長く感じられました。

ヒロインを演じたスー・チーは石原さとみと綾瀬はるかを足して二で割ったところにスパイスを振りかけたようで大変に可愛く魅力たっぷりでしたよ。「トランス・ポーター」のあの人か!と後で知り、今後もスクリーンで観たい女優さんの一人です。