白日焰火 Black Coal ,Thin Ice/2014年/中国・香港合作/106分
監督 ディアオ・イーナン
脚本 ディアオ・イーナン
撮影 トン・ジーソン
音楽 ウェン・ジー
出演 リャオ・ファン、グイ・ルンメイ、ワン・シュエビン、ワン・ジンチュン
鑑賞後、帰り道すがらコンビニで肉まんを買い食いしちゃいました。あの、スープとかお粥とかも旨そうで…。
今作、事前にベルリン国際映画祭で金熊賞、銀熊賞のダブル授賞、気鋭のディアオ・イーナン監督7年ぶりの長編で話題の作品との情報を仕入れておりまして。
冒頭のトンネルを走る石炭を積んだトラックを捉えたカメラワークから、イントロダクションの事件発覚に至るまでの描写で「これは、いいぞ」と食い入り気味、そして、あの美容室での銃撃戦のシークエンスでテンションマックスでした。
固定されたカメラに長回しでまさかの展開。「ちょっと、今のシーンもう一回見せて」と何度も見たくなる衝撃の出来映えでした。ぼくとしては北野武監督の『ソナチネ』でのスナック銃撃戦やエレベーター銃撃戦、あるいは『HANA-BI』での駅構内銃撃戦と比肩するくらいに震えました。
ただ、ここが自分的にピークだったようで、お話そのものは火曜サスペンス的と言うかそれほどグッとこず、グイ・ルンメイさんも綺麗だなあとは思うものの意味ありげすぎてちょっと乗れず。銀熊賞を受賞した主演のリャオ・ファンさんは、同じく同賞を授賞した浅野忠信補正が入っていささかノイジーだったりと後半に向けて雑念が入り乱れた鑑賞となりました。
とにかく、あのやたら出てくる肉まんとかお粥とかスープがひたすら旨そうで、それがうらやましくてしょうがなかったです。主人公の食べっぷりがまた良いんですよね。
映画自体のパワーはものすごく感じました。力強い画面作りと幻想的な色使い、俳優さんの気の入った演技でラストまでぐいぐいと引っ張っていかれましたし、ミステリー要素は薄いものの人間の業の深さはしっかりと描かれていて、それが交錯する観覧車のシーンは秀逸でした。
画面から、厳しい冬の寒さがひしひしと伝わってきたのも良い塩梅でした。
ラスト、原題の「白昼の花火」を象徴する一幕、ここでもジャンとウー・ジージェンが顔を合わせないながらもその思いが交錯し、そして、思い切りの良い幕の引き方で、ずっしりと重くのしかかりながらも清涼感がありました。エンドロールの音楽、ちょっとダサくてびっくりしましたけれど。
ここから怒涛の展開。このシークエンスだけでも観る価値アリです。 |