2015年/日本/103分
監督 山下敦弘
脚本 菅野友恵
撮影 高野風太
音楽 池永正二
主題歌 渋谷すばる
出演 渋谷すばる、二階堂ふみ、鈴木紗理奈、川原克己、松岡依都美、宇野祥平、赤犬、康すおん
主演の渋谷すばると言う人物を初めて見た(認識した)のですが、なかなかの歌唱力で、さすがジャニーズ、端整な顔立ちにいささか線が細いながらも存在感があり、演技も今回の役どころにはまっており好感を持ちました。
あくまで「ジャニーズ(アイドル)映画」と言う下駄を履かせれば、今作、本人役で登場した赤犬(こちらもこの映画で初めて知りました)の持つエンターテインメント性もあり、相手役である二階堂ふみのネイティブっぽい関西弁の演技も光ってそれなりに楽しめたと思います。スタッフ・キャスト一同の一生懸命さが感じられました。近頃、この一生懸命やってるんだからって言うのに弱く、採点が甘くなっちゃう傾向があります。
まあ、そこを取っ払っちゃうと脚本がひどいのとあまりのご都合主義、そして時に雑すぎると言っても過言ではないディティールの描写により、興をそがれることこのうえないって言う身もふたもない評価になっちゃいます。とりあえずタイトルの『味園ユニバース』からして何の必然性もないですからね。そこに至る、またはそれを取り巻くと言った物語でもないですし、二階堂ふみが「ユニバース押えたから」って、おお!んじゃやるか!みたいな。
しかし、さすが山下敦弘監督、その演出と構成、随所にちりばめられた印象的なシーンで、ああやっぱりこの監督好きだなって、その手腕に見惚れちゃうところはあります。毎度おなじみの食事シーン、今作もたくさん出てきてどれもうまそうなんですよね、これが。基本的にお口いっぱいに頬張ってがつがつやるんですが、下品にならない。むしろ食欲をそそるんです。シーチキンの卵とじどんぶりは最高でした。
たぶん、鑑賞した皆さんが引っかかるところなんでしょうけれど、カセットテープの件の違和感とラスト近くの渋谷すばる救出劇のシークエンス。ぼくも全く理解できませんでした。あそこだけファンタジーを織り込むのもありなのかもしれませんが、それまでのこの映画のトーンからすると「えっ」ってなっちゃって、どうにもすっきりとしないものがあります。それゆえラストシーンのカタルシスもイマイチピンとこず、うーん、面白かったけれどアイドル映画って言う括弧付きでね、って言うちょっと失礼な感想に落ち着いてしまいました。すみません。
赤犬さんのステージは抜群に楽しめました。一回、ライブで観てみたいなあ。