Sabotage/2014年/アメリカ/109分
監督 デビッド・エアー
脚本 スキップ・ウッズ、デビッド・エアー
撮影 ブルース・マクリーリー
音楽 デビッド・サーディ
出演 アーノルド・シュワルツェネッガー、サム・ワーシントン、オリビア・ウィリアムズ、テレンス・ハワード、ジョー・マンガニエロ
冒頭のトイレのシーン、排泄物恐怖症のぼくにとってはのっけからうへぇとなる展開できつかったです。その後も結構なレベルのグロ、ゴア描写が続き耐性のない人にはいささか厳しい鑑賞になるかもしれません。
ブラッド・ピットとの新作「フューリー」の日本公開も控え、「エンド・オブ・ウォッチ」で名を馳せた「マジもんの人」デビッド・エアー監督作品だけあってドラッグ周りの描き方や銃撃戦の演出はリアリスティックで迫力たっぷり。とびきり下品な言葉遣いと野卑な態度で振る舞いながらも熱いチームワークで結ばれた凄腕の荒くれ特殊捜査官の面々にも圧倒されます。
しかし、映画自体の出来不出来、評価をなかなか下しにくい、と言うのが正直な感想で、それは脚本の部分が大きいと思うのです。時系列もいじってあってちょっと分かりにくいし、肝心のミステリー部分が(後で知ったのですが、アガサ・クリスティの「そして誰もいなくなったが原作なのですね)、辻褄が合ってるんだか合ってないんだかでどうも腑に落ちない…。
一番、びっくりしたのが惨殺死体を天井に釘で打ち付けて晒し者にするくだりなのですが、あれ結構な大仕事ですよ。どうやってやったのか非常に気になります。ぼくは、床に寝かせて釘を打ち込んでおいて、それを逆さまにして天井にビターンッ!と張り付けるって方法を思いついたのですが、そんなわけはありませんね。それと、 実際には起こっていない出来事を映像で見せちゃってるって言うミステリーでは御法度っぽい演出をやっていて(ただ、これもぼくの勘違いかもしれません。良く理解できていなくて申し訳ないです)、これは、いかがなものかと。
映画の大部分を渋面で葉巻を燻らすシュワちゃんのアップが醸し出すなんとなくな雰囲気に寄っている、と言う印象も持ちました。このキャスティング、あるいはなぜシュワちゃんがこの作品を選んだのかと言う声も聞こえてきそうですが、ぼくはこの類の映画にも果敢にチャレンジするシュワちゃんの姿勢って真摯で素晴らしいと思いますし、デビッド・エアーとのタッグも見応えありで、あの七三分けの刈り上げたヘアースタイルも格好良く好ましかったですね。
終盤、メキシコでの無双っぷりも遥か昔に鑑賞して大変にお気に入りだった記憶があるシュワちゃん主演の「ゴリラ」を彷彿とさせて痺れました。ラスト、久方ぶりに激渋いシュワちゃんを拝見できてそれなりに満足。
それにしても近頃、イコライザーはロシアに、シュワちゃんはメキシコにと出張成敗が流行ってますね。仇討もワールドワイドになったものです。
女刑事役のオリビア・ウィリアムズさん、素晴らしい女優さんですね。見事な演技でした。シュワちゃんとのお楽しみの後の照れっぷりがなんとも。