2016年1月16日土曜日

クリムゾン・ピーク


Crimson Peak/2015年/アメリカ/119分
監督 ギレルモ・デル・トロ
脚本 ギレルモ・デル・トロ、マシュー・ロビンス
撮影 ダン・ローストセン
音楽 フェルナンド・ベラスケス
出演 ミア・ワシコウスカ、ジェシカ・チャスティン、トム・ヒドルストン、チャーリー・ハナム、ジム・ビーバー

ギレルモ・デル・トロ監督のフィルモグラフィから、ぼくが目を通した作品を調べてみると、ぱっと思い当たるのは『パンズ・ラビリンス』と『パシフィック・リム』ですかね。どちらも大好きな作品ですが、熱心な監督のファンというわけではありません。さて、監督最新作はミア・ワスコウスカを主演に迎えたゴシックホラー映画ということで、またユニークな世界観を提示してくれるのかな、と楽しみに劇場に足を運びました。

感想を一言で申し上げますと、ものすごく丁寧に微細に作りこまれたソープオペラと言ったところでしょうか。確かに、衣装に舞台に小道具にと、これでもかというくらいの作りこみがなされていますし、撮影も素晴らしく、特にその色遣いは目を見張るものがります。どの1ショットを切り取っても非常に絵画的で見惚れることは間違いないでしょう。しかし、肝要のストーリーがいささか昼メロ的と言いますか少女漫画的でもあり、ゴシックホラーと言うよりはサスペンス要素が強く、また展開が見えやすいためいささか退屈してしまいました。中盤、若干ウトウトしてしまったところもあります。

ただ、見どころは他にもありまして、トーマスを演じるトム・ヒドルストンなんですね。彼の没落貴族っぷりとその美しさを愛でる映画と言っても過言ではないのではないでしょうか。ぼくは、このトム・ヒドルストンという俳優さんを『マイティ・ソー』シリーズのヴィランでおなじみのロキとしてしか知らず、どうしてもダブってしまうのですが、逆にそこも相まって非常にチャーミングでした。大変にソフィスティケイトされたすべっすべのお尻も拝めます。

もう一つの見どころとして、恐らくはこれがR15指定の要因なのでしょうが、非常にグロテスクな「痛い」シーンがいくつかありまして、個人的にグッとキタのは洗面器にがっつんがっつん顔面をぶつけて死に至らしめるシークエンスと、これは鑑賞なさった誰もが共感を覚えるところでしょうけれどナイフをですね「えっ!そんなとこに刺すの!」から始まる非常に見ているこちらもギュッとなるシークエンスがあるんですね。これもトム・ヒドルストンがその犠牲となっているんですが、今これを書いているうちによくよく考えてみれば、多少のことに目を瞑っても、トム・ヒドルストン目当てでこの映画を観に行けばめちゃめちゃ楽しめるんじゃないかと、ギレルモ・デル・トロ監督の最新作って触れ込みで足を運んだ皆さんには申し訳ないですが、その思いを強くしているところです。

総じて、演者さんは良かったです。ミア・ワシコウスカはもちろんトーマスの姉を演じたジェシカ・チャスティンもキレてましたし(いろんな意味で)、監督が作り出したこの“クリムゾン・ピーク”の世界にどっぷりと馴染み込んでいました。ビジュアルに関しては申し分ない仕上がりになっていたんじゃないかと思います。

ギレルモ・デル・トロ監督には『パシフィック・リム』の続編を、そして、今作でぼくのご贔屓になったトム・ヒドルストンには新たな魅力を備えたキャラクターのクリエイトを期待して筆を置きます。

今作撮影中のオフ・ショットですね。サングラス姿が、またシビレるぅ!

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