2016年/日本/118分
監督 村川透
脚本 柏原寛司
撮影 仙元誠三
音楽 安部潤
出演 舘ひろし、柴田恭兵、浅野温子、仲村トオル、吉川晃司、菜々緒、木の実ナナ、小林捻侍、ベンガル、山西道広、夕輝壽太
テレビシリーズの『あぶない刑事』は世代的に、どストライクですね。ただ、当時の放送をリアルタイムに追ってはおらず、夕方の再放送で良く観ていた記憶があります。劇場版も映画館に足を運んで鑑賞したことはなく、こちらもテレビでちらちらと観た程度。つまり、熱心なファンではないものの、その年代の通過儀礼として“あぶ刑事”に慣れ親しんではいますよ、と言った感じでしょうか。定番の「関係ないね」や「行くぜ!ユージ!」「オーケー!タカ!」も一通りこなしましたしね。
そういう意味で今作、大変に懐かし面白かった、と言うのが率直な感想です。客層も中年層が多く、特にエンドロールが流れ出した時には後方の席の女性から「あ、懐かし…」との声が漏れ聴こえ、誰一人として席を立つ者はいない中、甘く切ない感情に浸る空気が館内を包み込み、非常に一体感がありました。
もちろん、一つのジャンルムービー、それも30年の時を経て熟成され、作り込まれた“あぶない刑事”の世界が世に送り出す“最後の作品”と言う極めて限定された括弧付きの懐かし面白さであり、万人にレコメンドはできませんし、あまたの作品と同列に評して論じるのもナンセンスなことです。でも、今の時代にこういうハチャメチャな勧善懲悪、ご都合主義、「ど」が付く程の昭和テイストで、振り切った格好良さを究めた映画がバーンとあっても良いんじゃないかとも思いました。
「痛い」とか「寒い」とか「ありえない」とか言ってないでタカとユージのチャンバラを楽しめよ!と。
ちなみに、随所に小ネタやギャグが散りばめられているのですが、ぼくのお気に入りは片桐竜次演じる闘竜会会長の「わわっ!足だ!…なんだ、腕か」ってやつです。
今や円熟期を迎えた舘ひろし、柴田恭兵をはじめ仲村トオル、浅野温子とキャスト陣のやりきった感が好ましかったですね。しっかりと役柄を演じ切っている、そこが魅力的でした。敵役の吉川晃司もシブく、この世界観にマッチしてて良かったですよ。ひとつ、残念だったのは菜々緒の扱い。ぼくが彼女の出演する作品を目にすると、高確率で死体になってるんですけれど、完全にツールとしての役割しか果たしてなかったですね。マッチョイズムとタカ&ユージのホモソーシャリズムの犠牲になっちゃってました。このエピソードは別にハッピーエンドでも良かったと思うんですけれども、そうするとラストのシークエンスがややこしいことになっちゃうんですよね。
それで、この映画の最大の見所はやはりこのラストのシークエンスからエンドロールの流れにあるわけです。もうすでに若干していますが、このくだりを詳しく語っていくと激しくネタバレになるので避けますが、とにかく最高なんですよ!少しでも“あぶ刑事”をかじったことのある人ならば、このパートとエンドロールだけでも充分に劇場に足を運んで鑑賞する価値アリです。最後に一言。R.I.P.中条静夫。そして、さらば!あぶない刑事!
さよなら、タカ&ユージ!さらば、あぶない刑事! |
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