2016年3月2日水曜日

スティーブ・ジョブズ


Steve Jobs/2015年/アメリカ/122分
監督 ダニー・ボイル
原案 ウォルター・アイザックソン
脚本 アーロン・ソーキン
撮影 アルウィン・カックラー
音楽 ダニエル・ペンバートン
出演 マイケル・ファスベンダー、ケイト・ウィンスレット、セス・ローゲン、ジェフ・ダニエルズ、マイケル・スタールバーグ、キャサリン・ウォーターストン、サラ・スヌーク

スマートフォンにiPhoneを使ってはいるもののApple信者、マカーではなく、むしろPCでは積極的なWindowsユーザーだったりします。とは言えほとんどが仕事での利用の為、そもそも電子機器の類に思い入れもなく、またその機能や進化に造詣が深いわけでもありません。今作で描かれるスティーブ・ジョブズに関してももちろん存じあげてはいますが「なんだか、すごい人」くらいの認識で特にその人となりに迫ったこともないので、逆にその辺りを知ることが出来る良い機会だと思い劇場に足を運んだわけです。

この映画、舞台劇さながらの三幕構成になっておりまして1984年のMacintosh、88年のNeXT Cube、98年のiMac、それぞれの新作発表会の舞台裏に迫りつつApple社とスティーブ・ジョブズのあれこれ、さらには娘リサとの確執と和解まで踏み込んでいくストーリー仕立てなのですが、これがですね、予備知識と言うかある程度、Appleとジョブズについて判っている人でないと固有名詞も含め話が見えてこないのですよ。ぼくは正直言ってちんぷんかんぷんでした。

鑑賞後、お手軽にWikipediaで“スティーブ・ジョブズ”の項を閲覧して、ようやく何とはなしに筋が見えてきた、と言う具合です。なので鑑賞には予習が必要な方もいらっしゃると思いますし、原作であるウォルター・アイザックソン著『スティーブ・ジョブズ』を読んでからの方がグッと楽しめるかもしれません。ぼくも鑑賞後、この原作を読んでみたくなりました。

そう言うわけでして、鑑賞中にちょっと頭を切り替えてほぼ全編に渡り会話劇とも言えるこの映画を味わおうと俳優陣の演技に着目して時間を過ごしました。ジョブズを演じる(ちょっとセクシーすぎる)マイケル・ファスベンダー、いつもながらぷっくり可愛いケイト・ウィンスレット、そして共同創業者のウォズニアックを演じる(ひげもじゃでも声ですぐわかる)セス・ローゲン、三者三様に怒涛のダイアローグを達者な台詞回しで素晴らしく真に迫った演技で演じ切り、脇の演者さんたちも含めてさながら演技合戦。ダニー・ボイルの切れのある演出も相まってスピード感たっぷりに映画は進んでいくため、122分も長くは感じません。逆に話を追えないので取り残された感はありますが。

さて、この映画を鑑賞してぼくの“スティーブ・ジョブズ”像がどう変わったかと言うと、はっきり言ってみる前よりさらに混乱した、と言うのが正直なところです。彼が持つギフトの凄さ、みたいなものもいささか読み取りにくかったですし(プレゼンの場面はカットされてます)、その裏に隠す非情さや残酷さみたいなものもちょっと掴みずらかったです。やっぱり、原作を読みつつ2013年版(こちらはアシュトン・カッチャーがジョブズを演じているようです)を観たりして見識を深めたいところですね。とにもかくにも様々な描かれ方を許容するとてつもない深遠な人物、それがスティーブ・ジョブズと言うことでしょう。

セス・ローゲンの台詞回しと声の表情が好きなんですよね。

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