2016年5月18日水曜日

アイアムアヒーロー


2016年/日本/127分
監督 佐藤信介
原作 花沢健吾
脚本 野木亜紀子
撮影監督 河津太郎
特撮 神谷誠
特殊メイク、特殊造形統括 藤原カクセイ
音楽プロデューサー 志田博英
音楽 Nima Fakhrara
音楽コーディネーター 杉田寿宏
出演 大泉洋、有村架純、長澤まさみ、吉沢悠、岡田義徳、片瀬那奈、片桐仁、マキタスポーツ、塚地武雄、徳井優、風間トオル

原作は随分前に途中まで読んで、そのままですね。ちょうど、今作の後半のメイン舞台となるショッピングモールのパートの導入部の辺りだったと思います。ですので、そこそこの先入観を持ちつつ映画に臨みましたが、違和感なく物語に入っていきつつそれなりに楽しんで鑑賞を終えることが出来ました。

ただ、手放しで面白かったと言うわけでもなく、前半こそ引き込まれたものの後半はいささか首を捻り、終わってみればうーんもうちょっと面白くなったんじゃないかな、惜しい!と言うのが正直な感想でございます。ぼくは、さほどゾンビ映画に造詣も深くなくこの手のジャンルが得意と言うわけでもなし、また、いわゆるグロ描写もどちらかと言うと苦手なたちなので、ゾンビ映画としてこの作品のどうこうっちゅうのを語ることはできません。また、邦画としては出色な出来であろうその人体破壊描写の数々も「うへえ、すげえ」とは思ったものの、ああいうのもあれですね見慣れちゃうものですね。

淡々とした日常が徐々に壊れていく冒頭から、高速道路上で大クラッシュが巻き起こるまでの前半部分は、これは面白くなりそうだ!と思ったんですよね(漫画もここらへんまでが面白い記憶です)。ZQNと化した片瀬那奈のありえない関節可動域の奇々怪々とした動きとかもすごい良かったですし、塚地武雄のキレっぷりも相変わらず良し、久方ぶりに拝顔した風間トオルもこのオファーを受けるとはさすが!と笑えました。さて、と腰を据え直して向かった後半戦がグッとこなかったのです。

ショッピングモールでのゾンビさんたちは前半の元気いっぱいに走り回ったりするZQN群とは異なり、一様にいわゆるゾンビ然とした動きで間の抜けた感じ。もうひとつ緊迫感がないのですよね。有村架純や長澤まさみの演じるキャラクターの肉付けもイマイチで、魅力的には思えませんでした。ラスボス戦で有村架純が発動か!と思いきや…と言ういささか肩すかしな展開で、あんまり話に収まりきってない感じをぼくは覚えました。エンディングはゾンビ映画あるあるであの引きの感じでオーケーでしょうけれど、もしかして続編があるのかな。だとすると、そこで色々と腑に落ちるところもあるかもしれません。

きちんと作り込まれた良質なゾンビ映画であることは間違いないでしょうし、ショットガンの所作とかを含めてビジュアルの映画的リアリティは素晴らしいものがあると思います。ぼくとしては原作付きと言う嫌いはあるにせよ、もうちょっと一本の映画としてカタルシスを味わえる脚本っちゅうかお話の作り込みが欲しかったかなと言うところです。でも、これ邦画のゾンビ映画史のなかでエポックメイキングな作品として残るのかな。そこのところはぜひお好きな方の感想を聞いてみたいものです。

大泉洋はハマり役です。ちゃんと“英雄”してました。

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