2016年5月4日水曜日

ズートピア


Zootpia/2016年/アメリカ/109分
監督 バイロン・ハワード、リッチ・ムーア
脚本 ジャレッド・ブッシュ、フィル・ジョンストン
製作 クラーク・スペンサー
製作総指揮 ジョン・ラセター
音楽 マイケル・ジアッキノ
主題歌 シャキーラ
日本語版主題歌 Dream Ami
声の出演(日本語吹き替え版) 上戸彩、森川智之、三宅健太、高橋茂雄、玄田哲章、竹内順子、Dream Ami、芋洗坂係長

しゅごい、ディズニーしゅごい。最高に面白かったので、皆さん今すぐこの画面をそっと閉じて映画館へ向かうことをお勧めします。現場からは以上です。

レオナルド・ダ・ヴィンチは言いました、「芸術に決して完成という事はない。途中で見切りをつけたものがあるだけだ」と。ぼくはこれをポジティブに捉えていますが、その意味で、まさにこの作品にこそ相応しい言葉と言えるでしょう。アニメーションとしての技術的な完成度の高さはもちろん、脚本の素晴らしさ、そのテーマ性の深遠さ、なおかつこの物語は決してここで終わりではなく、提示される様々なエレメントは我々のみならず、ネクストジェネレーションに受け継がれ、語り継がれていくべきものであるはずです。

映画は肉食動物と草食動物という極めて限定された生物が共存する(共存しようとする:ズートピア)世界をメタフィジカルに描くことで、アメリカの歩んできた歴史から現代のアメリカが抱える非常にシリアスでセンシティブな問題を取り扱っています。人間を動物に置き換えて、と言うと日本人にはお馴染みの漫画の原点とも言われる「鳥獣戯画」が思い浮かぶと思います。つまりは風刺なのですが、ともすれば浅薄になりがちなこの手法を驚くべきテクノロジーと熟慮されたプロット及びシナリオで、そして、ここが一番しゅごいところなのですが「めちゃんこ、面白く」娯楽性たっぷりに仕上げているのです。

とかく、こういう類の映画を観ると感想が「しゅごい」「面白い」「きゃわいい」とボキャブラリーが貧困になりがちですが、それで全然良いと思います。少なくともある程度の言葉が理解できる年頃(小学生ぐらいでしょうか)からお年寄りまで、人種問わず幅広い年齢の層の方々にご覧いただいて、それぞれの思いを胸にしてほしいものと思います。それくらい、各キャラクターに魅力が溢れていますし、アニメーションとしての説得力に優れています。

世界と言うのは「みんなちがって、みんないい」by金子みすゞ、で成り立っているべきですが、当たり前のことだけれど、そうではないという社会の現実の壁に誰でも突き当たりますよね。そう言う社会の成り立ちを教示しつつも、諦めないでやっていくのよ、Try Everythingと映画は語っています。この映画を観て「魔法も出てこないし、奇跡も起こらない。夢も希望もないじゃないか、子供にはリアルすぎるよ」という向きもあるかもしれません。でも、あなたが思っているよりも子供はもっと賢いものかもしれません。残念ながらぼくには子供はいませんが、もし子供がいたなら、『ベイマックス』然り、『インサイド・ヘッド』然り、こここのところのディズニー映画含めて、今作は是非一緒に観ておきたい、そんな作品です。

ジュディとニックのバディムービーとして続編にも大きく期待したいところですし、副市長(後に市長)のヒツジの彼女、ドーン・ベルウェザーこそ今作の肝要なキャラクターとしてもっと語りたいところではありますが、いかんせん激しくネタバレしてしまうものでして、どうぞ皆さん、映画館へ足をお運びください。ぼくの住んでいる地方では吹き替え版しか選択肢がないのが残念なところではありますが(上戸彩さんを始め、声優陣は良かったですよ)、コチラはDVDの発売を待つところとなりそうです。あーっ!ナマケモノのフラッシュ、サイコーです!これだけでも観に行く価値ありかも!

『ゴッドファーザー』ネタは大好きなだけに、たまらなくツボでした。でも、結局裏社会に頼らざるを得ないと言う矛盾も孕み…そこも見所ではあります。

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