2013年/日本/119分
監督 品川ヒロシ
脚本 品川ヒロシ
原作 木下半太
撮影 相馬大輔音楽 樫原伸彦
出演 藤原達也、田中聖、小杉竜一、中島美嘉、窪塚洋介、池畑慎之介☆
品川ヒロシ監督の前二作は未見。今作も食指は全く動きませんでしたが、週刊映画時評ムービーウォッチメンで取り上げられるということで鑑賞してきました。
例えばなにか冗談を言った後、「この冗談の面白いところはね…」と説明されるほどつまらないことはありません。そんな映画でした。笑えない、と言うだけではなく二転三転と説明的に解き明かされていく、主人公の藤原達也の描いた筋書も「お、おう」と言った感じで途中からもうどうでも良くなってきて、思わずリモコンを探しましたが生憎ここは映画館でした。
とは言え、上映中に席を立たなかったのはひとえに窪塚洋介の魅力のおかげです。昔からこの俳優さんが大好きでして、どんだけカリカチュアライズされたキャラクターを演じてもスクリーンに耐えうる稀有な存在だと僕は思っています。これはもう演技力はもちろんですが天性のものですよね。
彼の存在感がこの作品を映画たらしめていると言っても過言ではないでしょう(※あくまで個人の感想であり効果効能を謳うものではありません)。そう言う意味では池畑慎之助☆の果たした役割も大きいですね。ザ・グロテスク!な感じが良く出ていて達者な演技でした。
タランティーノに敬意を表すと言った呈で凝った時間軸の演出、会話劇、映画へのオマージュに溢れ面白い映画を作ろう!エンターテインメントを観客に魅せよう!と言う意気込みは充分に感じ取られますし、おそらく比されるであろう松本人志監督(ぼくは昨年のワーストのひとつに選出した「R100」しか観ていないのですが)と並べれば良く出来ているとは思いますが、こちらとしてはどの映画も一律に同じ料金を支払ってそれなりの時間を費やして劇場に足を運んでいるので、別段優しい気持ちをこの品川ヒロシという監督に差し伸べる必要もないと思われ、結果的にはもうこの先特に映画を撮る必要も無いのではないかな、と思いました。
窪塚洋介に映画論だか映画批評論だかを声高に叫ばせるシークエンスがあって、「ああ…やっぱりこう言う事言わせちゃうんだ」といささか鼻白んだのですが、やっぱりお笑い芸人(すみません、職業差別的で)が映画を撮ると、こちらもそれを知った上で観てしまうのでなかなか妙なバイアスがかかっちゃって難しいですよね。くそつまらなければ、くそつまらん!って言えるのですけれど今作のように「うん、頑張ってるけど…やっぱりつまらん」と言う場合、どうすれば良いのでしょう。知らんがなって話ですね。
ところで、藤原達也って顔の面積の割りに各パーツがこじんまりしすぎていると思いませんか。ちょっと不安になります。