2014年4月8日火曜日

ローン・サバイバー


Lone Survivor/2013年/アメリカ/121分
監督 ピーター・バーグ
脚本 ピーター・バーグ
撮影 トビアス・シュリッスラー
音楽 エクスプロージョンズ・イン・ザ・スカイ、スティーブ・ジャブロンスキー
出演 マーク・ウォールバーグ、テイラー・キッチュ、エミール・ハーシュ、ベン・フォスター、エリック・バナ

まったくもってアメリカンな映画でした。アメリカの国の人たちはやっぱりこの映画を観て「Yeah!」となるのでしょうか。戦争映画が嫌いと言うわけでは全然なくお気に入りの作品も多々あるのですが(「地獄の黙示録」「フルメタル・ジャケット」「ブラックホーク・ダウン」…etc.)、今作に関してはプロパガンダの側面が強く感じられて面白い!とか面白くない!とかで括られる感想は持たず、戦争マジヤダ…って言うのと、とにかく体のあちこちが痛いよう!と言うのが率直なところです。知らない国の人たちが知らない場所で、なんだか僕には良く分からない理由で戦争しているのを観ているとやっぱり頭の中を何度もこの曲がよぎりました。



しかし、この痛い描写は特筆すべきものがありました。僕の両親の田舎が岐阜県の山奥にありまして、ここは山に囲まれて海がないので、遊ぶのはもっぱら山川になるわけですが、幼少の頃ですからやっぱり無茶するわけです。それでもって、ちょっとした崖みたいなところから転げ落ちたり川べりの岩場ですってんころりんなんてことはよくあることで、あれはほんとに痛いんですよね。
そこへきて今回4人が放り込まれる窮地。やむを得ずとは言えども、そんな逃げ方!?って言う。そして滑落するさなか体のあらゆる場所を鈍い音と共に枯れ木や岩にぶつけるその凄まじさに、こちらも体が強張ります。「スタントマン…大変だろうな」と本筋とは関係ないことが思わず頭をよぎりますね。
蒲田行進曲」の階段落ちも今は昔です。「銀ちゃん、かっこいい!」どころの話ではないです。
そして、マーク・ウォールバーグがコインペンダントを噛み締めながらファッキン・ダックと勘違いされた末にようやく手にしたナイフで破片を取り除くシーンでは、めちゃくちゃ奥歯が痛くなりましたよ。

冒頭の悲壮なまでのネイビー・シールズの地獄の特訓をドキュメンタリー・フィルムでもって時間をかけて観客に提示することで、その後の4人のボロボロになりながらも強靭な活躍でのサバイバルに説得力を持たせたのは納得。そして、解放されたアフガンの少年が複雑な岩場をぴょんぴょんを駆け下りていくのも、タリバンが攻め込んでくる際の機動力を予見的に表現していて巧みだと思いました。

おおまかなストーリー自体は予告編で知った通りに進んでいってそれ以上でもそれ以下でもないのですが、ちょっとびっくりしたのは救出に来た輸送機がまさかの「RPG!」。ああ、こういう形で映画は終息に向かうのか、と思っていたところに「RPG!」ですから、これはたまげました。そこからもうひとひねりのお話だったのですね。まあ、ただアフガニスタンにも良い人はいますよって、そりゃそうだろって話ですからひねりもなにもないんですけれども
しかし、映画の冒頭にBased on true storyとあるように、この「レッド・ウィング作戦」は実際にあったネイビー・シールズ史上最悪の事件だそうですから、脚色の程はあれ、それを考えるとただただ胸が痛むばかりです。

あのマーク・ウォールバーグを救ってくれたアフガニスタンの勇気ある村人、大変にタリバンがお嫌いだったようですね。「FuckTheTaliban!」と罵っていました。
英語は息子同様にからっきしだったようですが、「ファックザタリバンぐらい分かるよバカ野郎」と言ったところでしょうか。

こちらをご覧ください。