監督 中島哲也
脚本 中島哲也、門間宣裕、唯野未歩子
撮影 阿藤正一
音楽 GRAND FUNK INC.
出演 役所広司、小松菜奈、妻夫木聡、清水尋也、二階堂ふみ、橋本愛、國村準、黒沢あすか、青木崇高、オダギリジョー、中谷美紀
深町秋生による原作小説『果てしなき渇き』は未読。
ただ、若干引っかかっていたのがタイトルの『渇き。』。なんで「果てしなき」を省いた上に「。」をつけっちゃたんですかね。一抹のダサさを覚えました。
それと、「学生1,000円」みたいな学割キャンペーン。なんとなく違和感を覚えていたのですが、鑑賞後、その思いを強くしました。ああ、媚びているな、と。
あ、これはあくまで制作サイドとは切り離した問題であって映画の出来とはまた違った次元のお話だと思いますが。けれども、15歳以上の学生が劇場に足を運んで例え1,800円払ったって観るべき映画は他に山ほどありますし、100円レンタルで借りることのできるマストな映画も山積です。
ところで、肝心の映画なのですが、これはやっぱり「つまらん!」と断罪しては申し訳ないほど役者さんも渾身の演技ですし、中島哲也監督もどうだと言わんばかりにあの手この手で演出されていて、エロだグロだ刺激的だとエンタメ作品として仕上げているところだと思いますが、ごめんなさい!ぼくは、さして興味のない、けれども多少は好奇心を惹かれる程度の出来の良い昆虫標本の図鑑をぱらぱらと見せられているようで、まったく心にずしんと響いてくるものがありませんでした。
ダイワハウスのCMイメージをぶっ壊してまでセルフパロディたっぷりに、口汚く罵りながら鬼気迫る役所広司の演技も一本調子で(もちろん彼の演じる藤島昭和はそう言う人間なのですが)食傷気味ですし、オダギリジョー演じるキャラクターの肉付けも「んんっ?」となってしまいました。
こういった類の映画を今現在観るとどうしても「タランティーノ」と言うキーワードが浮かんでしまって、それは品川ヒロシ監督の『サンブンノイチ』の感想でも言及したのですけれど、もうそう言う方法論は近似値でしかない訳であって、もちろん品川ヒロシ監督のそれとは比肩するのも申し訳ないほど完成度は高いのですが、ぼくの個人的な思いとしてはやっぱり「あなたの理性をぶっ飛ばす劇薬エンタテインメント!!」って最早こう言うこっちゃないと思うのです。
15歳以上の学生には1,000円やるからジョニー・トー監督の『ドラッグ・ウォー 毒戦』とか観にいって欲しいんですけれどもね。
それにしても、浅野忠信は最高っすよ(『私の男』の話です)!
それにしても、浅野忠信は最高っすよ(『私の男』の話です)!