Nebraska/2013年/アメリカ/115分
監督 アレクサンダー・ペイン
脚本 ボブ・ネルソン
撮影 フェドソン・パパマイケル
音楽 マーク・オートン
出演 ブルース・ダーン、ウィル・フォーテ、ジューン・スキップ、ステイシー・キーチ、ボブ・オデンカーク
ここぞとばかりに意地汚くたかる親類縁者に母親が怒り心頭で罵る シーンでfuck yourselvsと言っていたので、 なるほど罵る相手が複数の時は複数形になるんだなあと妙なところ で感心し、son of a bitchの複数形がsons of bitchesと知った時以来の衝撃でした。 高齢の出演者が多いせいか英語が聞き取りやすくスラングとかもな かったようで、ああこういう言い回しをするんだ! などと英語の勉強になりました。
モノクロにしたのはもちろんあえてなんでしょうけれど、 その意図がぐっと汲み取れるほどではなかったです。 時代背景やストーリー、登場人物のリアルさと言うかグロテスクさ をぼかしたかったのでしょうか。 カラー版も見てみたいですけれどあんまり印象変わらないような気 もします。
ブルース・ダーンは良かったですね。 ちょっと今年は分が悪くアカデミー賞はノミネートにとどまりまし たが素晴らしい演技でした。 アルツハイマーまではいってないけどいささかボケ気味、 頑固でほとんどアル中、 しかし頼まれると断れないお人好しと言う複雑な人物を抑制の効いた演技でしかし能弁に魅せてくれました。
まあ、 ほとんどの登場人物が主人公を含めて人間の嫌な部分を見せつけ、 だめな言動をかますと言うていたらくですからこちらも良い気分に はならないのは確かです。しかし、老人、外国、 モノクロという自分的なリアリティの薄さからどこか遠くのすごく フィクショナルな話に見えつつも、 いやこれはぜんぜん自分と地続きだよ、めっちゃ普遍性あるよ、 と鑑賞中に心によぎってからは、これぞアレクサンダー・ ペインの力量というかこういう作品ならではの本領発揮に気圧され て参ったな、と言う感じでした。そこで、 ラストのトラックのシーンが効いてくるわけです。なので、どちらかって言うと見た目とか口に入れたとたんって言うより後味 ほのかにってタイプの映画ですね。
それはそうと歳を取るとなんでメニューに載ってないもの頼もうと するんですかね。