2014年6月1日日曜日

野のなななのか


2014年/日本/171分
監督 大林宣彦
原作 長谷川孝治
脚本 大林宣彦、内藤忠司
撮影 三本木九城
音楽 山下康介
主題曲 パスカルズ
出演 品川徹、常盤貴子、村田雄浩、松重豊、柴山智加、山崎紘菜、窪塚俊介、寺島咲

映画がはじまって早々、森の中で楽隊が主題曲を奏でる場面を見るにつけ、あ、これは寝ちゃうやつかもしれないな、と思いましたが、案の定、中盤居眠りしてしまいました。上映時間が3時間近くの長尺で、しかも、特に筋立てを見失うこともなかったので、どれくらい眠ってしまったかわかりませんが。

大林宣彦監督の前作「この空の花 長岡花火物語」同様、姉妹編と謳われる今作においても、監督のフィルモグラフィの中でもとりわけ文体が特異な為、苦手な人はまったく受け付けないかもしれません。絶え間無く流れる音楽と頻繁な切り返しのカット、ぐーっと、あるいはぐるぐると動き回るカメラに、不自然な台詞回しと舞台調の大仰な演技。もちろん、これらは破綻することなく計算され緻密に練り上げられた大林監督の意図が丁寧に積み上げられて作り込まれているものと思います。なので、これは完全に受け手であるぼくの問題なのですが、苦手なんですよね。

また、繰り返される2時46分を指す時計などもはや暗喩にすらなっていないあまたのモチーフ、はっきりと声高に説明される戦争と原発の悲劇。戦争反対、原発反対と言うプロパガンダを超越した芸術性を保っていると言う見方もあるかもしれませんが、反対の向こう側っちゅうか、その先にある地に足のついたリアルな代替案、あるいは建設的なアイデアが提示されない(と、ぼくは感じました)為、登場人物の、ひいては大林監督の声がぜんぜん心に、ぼくの胸に響いてこなかったのが正直な感想。
ちなみに、ぼくは戦争なんか絶対嫌ですし、原発についてもなきゃないほうが良いに決まってると言う立場です

前作「この空の花 長岡花火物語」もぼくはやっぱりだめだったんですけれども、ある種の突き抜けた衝撃と、「すげえな」と言う超越的なパワーは感じてそれなりに感銘は受けたのですが、今作はちょっと、うーん、腹にずしんと響くものがなく、逆になんかすみません、良くわからなくて申し訳ないという気持ちです。

大林監督はこの映画に込めた想いやメッセージを一体誰に向けているのか、と言う疑問も残ります。未来を担う子供達に広く届けたいのであれば、これで(この方法論で)伝わるのかな、と僕は思いますけれど。一部の映画ファンやマニアが満足したところで致し方ないですよね。

安達祐美、老けないですよね。