2015年11月6日金曜日

ヴィジット


The Visit/2015年/アメリカ/94分
監督 M・ナイト・シャマラン
脚本 M・ナイト・シャマラン
撮影 マリス・アルベルチ
音楽監修 スーザン・ジェイコブス
出演 キャスリン・ハーン、ディアナ・デュナガン、ピーター・マクロビー、エド・オクセンボールド、オリビア・デヨング

ヤッツィーーー!!!!


あ、画像間違えました。こちらです。


おばあちゃんが叫んだ後、かぶせ気味に弟くんが「ベッカ!」と合いの手を入れるが如く助けを求めて叫ぶのがまたオツなんですよね。ホラー映画史に残る屈指の名シーンであることは間違いないでしょう。この刹那、劇場内は爆笑の渦に包まれ大変に一体感がありました。

この「ヤッツィー」と言うゲーム、全然知らなかったのですがググってみたところによるとサイコロでやるポーカーみたいなもののようですね。ホームパーティーで今作をバックグラウンドに流し、クッキーを貪りながらヤッツィーに興じる集いなんかやってみたいものです。

ところで、このブログでも再三申し上げているのですが、ぼくは極度の排泄物恐怖症なのです。特にうんこネタがきつくて、その意味では非常に辛い鑑賞体験でした。しかし、本当に嫌なんですけれどもうんこやゲロが出てくる映画って大概面白いんですよね。そして、この『ヴィジット』も紛うことなき面白さ。大傑作でした!

M・ナイト・シャマラン監督作品は『シックス・センス』『アンブレイカブルをテレビだかDVDで鑑賞した程度で、なんとなく“どんでん返しの人”と言うイメージ。何だか低迷していたような噂も耳にしていたので今作は期待半分、ホラー映画っぽいということ以外は前情報を入れずに臨みました。

まずは導入、今やいささか使い古された感のあるPOV方式でいかがなものかなと訝しんでいたところに、なかなかの演技を見せるベッカとタイラーの姉弟。特に弟くんの潔癖症でラッパー、罵り言葉に女性歌手の名を発するというキャラ立ちっぷりがチャーミングで物語に引き込まれていきます。

そして中盤、唐突に訪れるおじいちゃん、おばあちゃんの奇行。床下のかくれんぼでのおばあちゃんの姿態は『貞子』オマージュでしょうか。そして、姉弟の部屋の隅からドアを捉えるショットは『パラノーマル・アクティビティ』を彷彿とさせます。この辺りで、ぼくの苦手とするゲロ、うんこネタも投入。さらには、おばあちゃんの素敵なケツをバックショットで拝めます。基本的にはお化け屋敷イズム溢れる「わっ!」とやって脅かす類のホラーなのですが、そこがまたどうかなと思われたPOV方式と相まってベタながらも心地よく恐がらせてくれます。

物語は終盤を迎え、お待ちかねの「どんでん返し」があるのですが、ぼくは全然そんなこと考えていなかったので普通にびっくりましたよ。冒頭の「ヤッツィー!」シーンも登場し、恐怖と笑いの同居によりアクティビティなスリルを味わえます。これはもうアトラクションですよ。やっぱり相反する二つの感情を波を打つように湧き起こさせてくれるって凄いと思います。シャマラン監督の手腕、本領発揮ですね。

たぶん、馴染みの方はここからもう一転、二転の展開を期待するところだと思いますが、今作は「どんでん返し」は一発のみ。姉弟それぞれのトラウマ克服からおじいちゃん、おばあちゃんとの闘いを経て大団円を迎えます。弟くんの面目躍如のエンドロールは非常に楽しみました。鑑賞後も全然、首を捻ることもなく「いやあ、楽しかった」と爽快感さえ覚えましたよ。でも、うんこは本当に嫌です。弟くんは克服したかもしれませんが、ぼくは新たなトラウマを植え付けられました。

ずいぶんと低予算で製作されたようですが、それでもこれだけの映画を作れる、しかもホラー映画として押さえるところは押さえながらも、めちゃめちゃオリジナリティ溢れる一作に仕上げたM・ナイト・シャマラン、非常に信用できる監督だなと感じた次第です。ちなみに、今年のカエルデミー主演(助演かな)女優賞はおばあちゃん役のディアナ・デュナガン、そして、カエルデミー流行語大賞は「ヤッツィー!」が獲得濃厚です。

ぼくのおばあちゃんも、なにかっちゃあ「飯をたんと喰え」って言ってましたね。祖母心です。奇行には及んでいません。

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