2015年12月31日木曜日

2015年劇場公開映画鑑賞映画備忘録(ベスト10&ワースト1)とカエルデ ミー賞の発表


2015年に劇場公開(一部2014年末劇場公開も含む)された新作映画の鑑賞本数は例年よりぐっと減りまして48本でした。後に触れますが、とある映画を鑑賞後、2ヵ月間全く劇場に足が向かず1本たりとも映画を観ていないという状況が続き、年末に向かってムービーウォッチメンの候補作品も観たり観なかったりのうやむやな感じになってしまって、ぼくの2015年映画事情は何とも締まらない形で終わりを迎えました(この記述の後、大晦日に滑り込みで『クリード チャンプを継ぐ男』を鑑賞。ばっちり締まりました!)。

今年はベスト10及びワースト1のみランキングをつけ、あとは鑑賞順に備忘を記しておきます。
それでは、栄えある第1位、マイベストワンの作品はこちらでございます!

『ジョン・ウィック』


John Wick/2015年/アメリカ/103分/チャド・スタエルスキ

これしかないでしょうね。俺たちのキアヌが帰ってきた!の触れ込みでおなじみですが、実は昨年末も『47RONIN』と言う珍作にちゃっかり主演したりしておりまして。とは言えいわゆるニューヒーローとしてのキアヌを拝めるのは久しぶり。これほど公開を心待ちにし、そして公開と同時に劇場に足を運んだ映画はぼくにとっても久しぶりです。キアヌ・リーブスほどスタイリッシュ・アクションと言う帯文句が似合う男もいないんじゃないでしょうか。詳細はブログを読んでいただきたいのですが、御託は必要ありません。キアヌ・リーブスがかっこいい、それで世界は完全となるのです。イッツ ア パーフェクト ワールド。必見です!

あ、ちなみにいつものように変身前の愛くるしいキアヌの画像も貼っておきますね。


以下、ベスト2位からベスト10位までを一言コメントを添えて発表します!

2位 『恋人たち』 監督 橋口亮輔
人を傷つけるのは人、人を癒すのもまた人なんだなあ…と感慨。最後までベストワンと迷いました。とにかく橋口監督の演出と俳優陣の演技が素晴らしい。

3位 『ナイト・クローラー』 監督 ダン・ギルロイ
ジエィク・ギレンホールが徹底したメソッド演技で演じる主人公のクズっぷりがいっそ清々しいほど。ある種の歪んだ爽快感を持って劇場を後にしました。

4位 『マッドマックス 怒りのデス・ロード』 監督 ジョージ・ミラー
ぼくを映画の世界に連れ戻してくれた一作。激しいアクションと目くるめく展開に鑑賞後はぐったりしますが胸に残る爽快感と明日への希望!この作品の前ではどんなエナジードリンクもお手上げです。

5位 『ヴィジット』 監督 M・ナイト・シャマラン
ヤッツィーーーー!

6位 『野火』 監督 塚本晋也
この作品を構想から20年を経て撮りきった塚本晋也監督の仕事ぶりに拍手です。邦画史に残る作品であるとともに長く語り継がれていってほしいものです。リリー・フランキーの怪演も見物。

7位 『ジュラシック・ワールド』 監督 コリン・トレボロウ
閉幕と同時に思わず拍手が出そうになりました。スリル・アクション・サスペンス・ユーモアなどエンターテインメント足り得る各要素の按配加減が絶妙。初見でも常連でも楽しめる一級品です。

8位 『インサイド・ヘッド』 監督 ピート・ドクター 
齢四十と二つ、やもめ暮らしの中間管理職のおっさんが号泣メーンした作品です。脚本が巧みなうえアニメーションならではのアイデアとビジュアルがふんだんに盛り込まれ、そのサービス精神と制作陣の真摯さは見事。

9位 『薄氷の殺人』 監督 ディアオ・イーナン
力強い画面作りと幻想的な色遣いで映画のパワーをすごく感じました。美容室での銃撃シーンは白眉。あと、肉まんとかお粥とかスープがひたすら旨そう。

10位 『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』 監督 ジョン・ファブロー
この映画を観た後、会社に辞表を提出し、包丁一本さらしに巻いて日本一周フードトラックの旅に出ようと思ったのはホントの話です。「人間や物事の良い面を見よう!」と言う、徹底的なポジティブさとオプティミズムにビシット筋が通った佳作です。底抜けに明るく出てくる人は皆良い人。『アイアンマン3』を蹴ってまでこれを撮りたかったジョン・ファブローが微笑ましい。

そして、ごめんなさい。否!あやまるまでもないわ!2015年のワーストワンはこちらの作品じゃい!

『ジュピター』 


Jupiter Ascending/2015年/アメリカ/127分/アンディ・ウォシャウスキー、ラナ・ウォシャウスキー

とにかく、ヒドかったと言う記憶しか今は残っておりません。1億ウン千万ドルものお金を費やして何しとんねん、姉弟よ。世界には飢えた子どもや戦禍を被る不幸な人たちが…などと関係ないことが頭をよぎり、とうとうブログに感想をかけずじまい、ムービーウォッチメンに投稿することすらできず、挙句の果てにショックでこの後2ヵ月間劇場に足を運ぶことすらできなくなったといういわくつきの作品です。ぼくのお財布事情が苦しくなるたびにこの映画のことを思い出し、もはやぼくのトラウマ映画ベストワンとしてその名を刻んでおります。良かったら観てみてね!

その他、ランキング外の鑑賞映画は鑑賞順に下記のようになっております(ちなみに2014年末公開で2015年に劇場で鑑賞した映画はトップテン、ワーストワン、カエルデミー賞の対象から外しております)。

イロイロ ぬくもりの記憶
毛皮のヴィーナス
百円の恋
ベイマックス
96時間/レクイエム
ビッグ・アイズ
ANNIE/アニー
ミュータント・タートルズ
フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ
味園ユニバース
おやじ男優Z
アメリカン・スナイパー
イミテーションゲーム/エニグマと天才数学者の秘密
きみはいい子
海街diary
アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン
ターミネーター:新起動/ジェニシス
バケモノの子
進撃の巨人 ATTACK ON TITAN
フレンチ・アルプスで起きたこと
日本のいちばん長い日
ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション
テッド2
わたしに会うまでの1600キロ
カリフォルニア・ダウン
ヴィンセントが教えてくれたこと
進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド・オブ・ザ・ワールド
心が叫びたがっているんだ。
キングスマン
アントマン
アメリカン・ドリーマー 理想の代償
バクマン。
マイ・インターン
WE ARE Perfume WORLD TOUR 3rd DOCUMENT
ガールズ&パンツァー 劇場版
007 スペクター
クリード チャンプを継ぐ男

続きましてカエルデミー賞の発表です!

☆カエルデミー作品賞
『マッドマックス 怒りのデス・ロード』


Mad Max : Fury Road/2015年/アメリカ/120分

ランキングでは4位に選出しましたが、今年の映画を語るうえで、やはり外せない作品と言うことで作品賞受賞です。この作品との出会いがなければしばらく映画から遠ざかっていたでしょう。また、同じ作品を2回以上観にいったのも、これが唯一です。巷でもV8!V8!と盛り上がっておりました。ジョージ・ミラー監督に感謝です。否!ヒャッハー!です。

☆カエルデミー主演男優賞
ジェイク・ギレンホール 『ナイトクローラー』


その徹底したメソッドアクティングでスクリーン一杯に新たな悪のヒーローの登場を予感させた『ナイトクローラー』での怪演で受賞です。こう言うのってイメージが付いちゃったり、同じ手は2度使いづらかったりして、次の一手が難しいと思うのですけれど、そういう意味でも今後のジェイク・ギレンホールからは目が離せません。

☆カエルデミー主演女優賞
高橋瞳子 『恋人たち』


映画の軸となる3つの物語のうちの1つで平凡な主婦、成嶋瞳子を演じておりました。とにかく、リアル。オーディションで選出された新人ならではの臭みがなくナチュラルな、されど深い芝居と失礼ながら適度な不細工加減が逆にエロさと、時にはキュートささえ醸し出して大仕事を成し遂げました。本年度、文句なしの主演女優賞です。

☆カエルデミー助演男優賞
リリー・フランキー 『野火』『恋人たち』『バクマン。』


もはや、邦画界には欠かせない存在となってきた名バイプレイヤーっぷりですね。今回は特にリリー・フランキーと言う人物が元来持つ振り幅の大きさを感じさせてくれる『野火』での演技を評価しての受賞です。この人の笑顔のチャーミングさとその奥に光る狂気の凄さってのは震えるものがありますね。

☆カエルデミー助演女優賞
石原さとみ 『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』 『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド・オブ・ザ・ワールド』


映画はクソですが石原さとみは最高です。そうです、石原さとみが好きなんです!カエルデミー助演女優賞初受賞おめでとう!好きです!

☆カエルデミー監督賞
橋口亮輔 『恋人たち』

長い時間をかけてじっくりと丁寧に作り込んだ作品にしか醸し出せない味わいと言うものがあります。寡作で知られる橋口亮輔監督、傑作『ぐるりのこと。』から7年の歳月を経て世に問うた『恋人たち』は、そのキャスティングから演出、撮影、編集や構成に至って全てが凝縮されたエネルギーの昇華とでも言うべく、その卓越した手腕により美しい結晶体の集合のような作品に仕上がっておりました。物凄まじいまでの底知れぬパワーを秘めた映画監督が同時代の日本で我々に作品を提供してくれることに感謝です(ちなみに、ほぼ同様の理由で『野火』の塚本晋也監督と授賞を非常に迷いました)。

やはり、こうして1年を振り返ると映画の思い出とともに、様々とその時々に浮かんだことや起こったことがほんのりとした記憶として呼び起され、何ともほろ苦くもにんまりとした気分に浸るものです。今回、ランキングで取り上げた作品は全て(あ、ワーストワンは書いてないや)、その感想を拙ブログに記しておりますのでよろしければご一読くださいませ。
2015年、鑑賞本数は少ないなれど粒揃いの良品に恵まれ、充実したシネマライフでございました。そして、2016年も期待に胸を躍らせて劇場に足を運べる幸せをたっぷりと噛みしめて、ゆきゆきます!

2015年12月14日月曜日

ガールズ&パンツァー 劇場版


2015年/日本/119分
監督 水島努
脚本 吉田玲子
考証/スーパーバイザー 鈴木貴昭
キャラクター原案 島田フミカネ
キャラクターデザイン/総作画監督 杉本功
ミリタリーワークス 伊藤岳史
音楽 浜口史郎
主題歌 ChouCho
声の出演 渕上舞、茅野愛衣、尾崎真美、中上育美、井口裕香、福圓美里、高橋美佳子、植田佳奈、菊地美香、吉岡麻耶、桐村まり、中村桜、仙台エリ、森谷里美、椎名へきる、喜多村英梨、石原舞、明坂聡美、川澄綾子、伊瀬茉莉也、平野綾、早見沙織、大地葉、金元寿子、上坂すみれ、田中理恵、竹達彩奈

週末のレイトショーで鑑賞したのですが、劇場は文字通り(それっぽい)男性諸君一色。女っ気は一切ありませんでした。しかし、本作は登場人物のほぼ全てが女性で占められており、上映中はスクリーン、館内あわせてちょうど良い按配と言う具合でした。

ムービーウォッチメンでアニメ作品が取り上げられるたびにエクスキューズしているのですが、ぼくは昨今のアニメ事情にはほとほと疎く、ましてや今作品はいわゆる「萌え」系の絵柄にきゃんきゃんとした女性声優さんのアニメ声があてられており、それがたいそう苦手な為にまったく正当な評価が出来ず何とも申し訳ない気持ちです。

本編開始前に復習としてこれまでのあらすじを3分間にまとめたものが紹介され、なるほど分かりやすく「戦車道」を初めとしたこの世界の設定にすんなりと入っていくことはできました。
また、この作品のもう一つの主人公である戦車に関してもさほど興味がないとはいえ、縦横無尽に走り回る戦車のビジュアルと音響には単純に感心しました。あんまり動いている戦車ってのをちゃんと見た記憶がないので、へえ!そんな風に動くんだとか、意外とスピード出すんだな、とかですね。

お話の方はいわゆる学園ドラマの王道なのでしょう。大した理由もなく前言撤回!やっぱり廃校!ってのはどうなんだとも思いましたが、まあ、冒頭のエキジビションからドラマパートを挟んで終盤の対抗戦といった大まかな流れは納得できるものではありました。可愛い女の子が戦車に乗って戦うと言うアイデアとそれを下支えするキャラクターの描き込みと戦車のデティール、それに加えてアニメならではの荒唐無稽さを存分に取り入れてと言うことで非常に人気があるのもうなずける作品だと思います。

でも、正直言ってたくさんの女の子(と戦車)が出てきて顔も声もあんまり見分けがつかなかったです。勉強して出直してきます。パンツァーフォー!(これはお気に入りです)

2015年12月11日金曜日

007 スペクター


Spectre/2015年/アメリカ/148分
監督 サム・メンデス
脚本 ジョン・ローガン、ニール・バービス、ロバート・ウェイド、ジェズ・バターワース
撮影 ホイテ・バン・ホイテマ
音楽 トーマス・ニューマン
主題歌 サム・スミス
出演 ダニエル・クレイグ、クリストフ・ワルツ、レア・セドゥー、レイフ・ファインズ、モニカ・ベルッチ、ベン・ウィショー、ナオミ・ハリス、デビッド・バウティスタ、アンドリュー・スコット

前作『007スカイフォール』から3年ぶり、ダニエル・クレイグ=ジェームズ・ボンドの4作目とあって期待を胸に秘め、IMAXにエグゼクティブシートを陣取って万全の態勢で臨みましたが、これ、普通のシートだったらお尻が二つに割れてますよ。いやあ、長かったです。

148分の長尺、覚悟はしていました。上映時間に比してその長さを感じさせない作品もありますが、今作に至ってはしっかりと長い!と感じ入りました。どこを端折れと言われると返答に窮するのですが、冒頭のメキシコのシークエンスこそさすがのスケール感を思わせるものの、後半に進むにつれ尻すぼみになっていき、せっかくのクリストフ・ワルツも大物感たっぷりの登場から、何だかこじんまりした敵役に成り下がり、何とも冗長な仕上がりになってしまいました。

素晴らしい出来だった前作のタイトル・シークエンス(主題歌はアデル/『スカイフォール』)、今回も前もってラジオから流れるサム・スミスの唄う主題歌『ライティング・オン・ザ・ウォール』を幾度か耳にしており、楽しみにしていたのですが…燃え盛る炎に包まれる裸身のダニエル・クレイグがスクリーン越しにこちらを熱く見つめる視線と目が合った時点で既にくふっと笑ってしまい、タコの足がうねうねと絡みつくに至ってはお腹を抱えてしまいました。サム・スミスがねっとりと情熱的に歌い上げる相乗効果で笑いを噛み殺すのに一苦労しましたよ。

ただ、全体的な感想で言えば007らしくて面白かったし、クレイグ=ボンドは老けはしたものの相変わらず格好良いしと言うことでエンジョイはしました。ボンドガールのレア・セドゥーはあんまりパッとしなかったですね。彼女が大変に魅力的な映画は他にもありますし、ゴージャス感が無かったのかな。そういう意味ではもう一人のボンドガール、モニカ・ベルッチがもうちっと若ければ…。

あと、見所はやっぱりトム・フォードのスーツとベン・ウィショー演じるQとボンドの掛け合いですかね。Qは今回、出番多いです。存分にお楽しみいただけるものと思います。ぼくとしては贔屓のクリストフ・ワルツに大変期待していたので、ああ、サム・メンデスわかってないなあクリストフのこと、と残念無念な印象を拭えません。

かわゆす。
ダニエル・クレイグ=ジェームス・ボンドのシリーズはこれで4作全て目を通したことになります。いつも観終わるに度に髪を短く切って体を鍛え、細身に仕立てたスーツを着よう!と決心するのですが、今のところ髪を短く切っただけです。