2014年10月18日土曜日

猿の惑星:新世紀(ライジング)


Dawn of the Planet of the Apes/2014年/アメリカ/131分
監督 マット・リーブス
脚本 マーク・ボンバック、リック・ジャッファ、アマンダ・シルバー
撮影 マイケル・セレシン
音楽 マイケル・ジアッキノ
出演 アンディ・サーキス(シーザー)、ジェイソン・クラーク、ゲイリー・オールドマン、ケリー・ラッセル、トビー・ケベル(コバ)、コディ・スミット=マクフィー、ニック・サーストン(ブルーアイズ)

前作、リブート版「猿の惑星:創世記(ジェネシス)」から、もう三年も経っているんですねぇ。公開当時鑑賞した劇場は今はもう無くなってしまいました…。もっとも、オリジナルの「猿の惑星」は1968年公開と言うことですから、四十数年に渡りこのシリーズは我々を魅了し続けているわけです。人間の代わりに猿が支配する惑星って言うそのワンアイデアが強烈ですもんね。そして、あのパッケージにまでなっている衝撃のネタバレラスト。スゴイですよね。

さて、前作の記憶もうっすらとなっており、とは言えクライマックスの「ノー!」の件だけは否応なく頭に刻まれていて大変にカタルシスを覚えた、そしてラストのエッセンスもにんまり感がありとても面白かった印象を覚えていたのですが、今作の「猿の惑星:新世紀(ライジング)」は予告編などを観るにつけ、「うーん、類人猿と人間の戦いみたいなのか…ノらねぇな…」とスルー気分だったのですが、ムービーウォッチメンに選ばれたこともあり割に普通なテンションで2D字幕版での鑑賞となりました。

結論から言うと、ぼくは全然知らなかったのですが三部作構想だそうで、その二部作目と言うポジショニングからか、いまひとつ猿の惑星的カタルシスに欠いた感はあったものの非常に良く出来た脚本でそつなく面白かったよ、と言うところです。人間関係、類人猿関係(?)が重層的に描かれており、マルコムとアレキサンダー、シーザーとブルーアイズ、また、マルコムとドレイファス、シーザーとコバ、と普遍的な関係性のテーマが盛り込んであり良く練られているなあと感心しました。そして、今日の技術力と俳優陣の演技力の下地があってこそのAPESの存在感。もう、ぜんぜん普通ですもん。もちろん、映画館の隣の席で一緒に見てた友人がいきなりコーネリアになってたらびっくりしますけれど、スクリーン越しに観るその世界は圧倒的に「あり」な感じで受容できる為、コバが馬にのって二丁マシンガンでヒャッハー!してても「おおっ!」てなるのです。コバ、抜群なキャラクターでした。終盤、シーザーとの一騎打ちの場面、手に持ったマシンガンを投げ捨て肉弾戦を挑むも苦戦するとその辺の鉄骨みたいなものを拾って凶器攻撃とか、その戦闘描写にもコバのヒールっぷりと小物感が滲み出ていてグッドでした。

なんか個々では分かりあえたような感じだけれど結局、全体としては相容れないよね…オレ達。よし、ならば戦争だ!みたいなのも示唆に富んでいますし、猿の惑星=人類への皮肉って線は死守してて、いよいよオリジナル版第一作目へと果たしてどんな展開で繋げていってくれるのか、予定では2016年公開とされている三部作完結編が楽しみになる一本でした!

ところで、当世のハリウッド映画ではアフリカン・アメリカンや東洋人を一定割合で出演させなければいけないという話をちらりと耳にしたことがあるのですが、今作ではアフリカン・アメリカンの出演者はもちろんいましたが東洋人は見受けられなかったような…。APESが東洋人(日本人)のメタファーってことで承っておいて良いのでしょうか。

※普通にTSUTAYAとかに置いてあるので貼りますよ。オリジナル劇場版第一作目。