2015年1月23日金曜日

96時間/レクイエム


Taken3/フランス/2015年/109分
監督 オリビエ・メガトン
脚本 リュック・ベッソン、ロバート・マーク・ケイメン
撮影 エリック・クレス
音楽 ナサニエル・メカリー
出演 リーアム・ニーソン、フォレスト・ウィテカー、ファムケ・ヤンセン、マギー・グレイス、ダグラス・スコット、サム・スプルエル、リーランド・オーサー

無駄にIMAX、エグゼクティブシートで鑑賞してきました。何が面白かったって、『ワイルドスピード SKY MISSION』の予告編がめちゃめちゃ面白かったです。久方ぶりにちらりとカート・ラッセルの御尊顔も拝めて、同シリーズに左程の思い入れのない僕でもこれは絶対観に行きたいっ!と浮き足だった次第です。

それはさておき、本編ですが結論から申し上げますと、残念ながら…イマイチでしたね。
今回で三作目となるこの「96時間」シリーズ、一作目、二作目共に鑑賞しておりまして、とは言えあんまり内容が記憶に残っていなかったりごっちゃになっていたりと何とも覚束ないのですが、娘を救う為なら非人道的な振る舞いも厭わないリーアム兄さんが暴走する、と言う点と一作目は大変に楽しんだのですが、二作目はつまらなかったな、と言う印象は残っていました。

冒頭、ロサンゼルスの夜景を俯瞰でグイグイ捉え、細かくカットを割ってハイテンポにイントロダクションを運んでいく展開に「お、まずはこういう導入部か。ミュージックビデオっぽいな」なんて思っていたら、全編に渡ってバシバシと細かくカットが割られていて、正直言って何が何だか良く分かりません。

いくらリーアム兄さん無双が前提でももうちょっと説得力を持たせて欲しかった。「あの時どうやって脱出したか」みたいなことを言ってモノクロームのフラッシュバックでその模様が映しだされるのですがそのカット割りも細かすぎて「ん、…わかんない」ってなっちゃいました。コミックを超速読しているような感じです。

敵もしょぼいです。スぺツナズ出身のロシアンマフィアって言うと昨年のマイベスト10に入れた『イコライザー』が思い起こされますが、比肩すると悲しくなります。テニスに興じる女の子をライフルのスコープ越しにパン!とか、ジャグジーで両手に金髪抱えてとかばかみたいですよ。あと、この人の過去の歴戦の様子もフラッシュバックで流れるんですがこれもパパパパって良く分からない。結局、ブリーフ一枚で悲しい最期を迎えるのですが、本当の敵は実は…となってからの展開も頭を抱え込んでしまうほどのお粗末さで。

そして、フォレスト・ウィテカーの「俺は分かってるんだぜ」感が非常にうざいです。部下を扱き使うだけ扱き使って、最後の最後に温かいベーグル理論を持ち出しドヤ顔を決めるのですが、ぜんぜん納得できません。ある意味、この映画で一番無能だったかとさえ思ってしまいます。

帰ってから調べてみたら二作目、三作目と監督が一緒なんですね。オリビエ・メガトン。ちょっとウマが合わない感じです。一作目はピエール・モレル監督。この人のジョン・トラボルタが主演した『パリより愛をこめて』はすごく楽しんだ作品。ショー・ペン、ハビエル・バルデムが出演する最新作『The Gunman』もクランクアップしたとのニュースが耳に入り、公開が待ち遠しい!

以前、『フライト・ゲーム』の感想にも書きましたが、ぼくはそれほどリーアム兄さんには思い入れがないので、逆にそちら方面の方々には今回も安定供給されて満足だったのかもしれません。

ところで、あの抜き取った毛髪。「使わないかもしれないが」ってパンツェッタ・ジローラモに渡していましたがホントにまったく後につながりませんでした。“ついに、父の暴走が終わりを遂げる”なんてコピーでしたが、意外や意外、この毛髪が続編への伏線でしょうか…。ともあれ「96時間」って「沈黙の…」シリーズ同様、ぜんぜん意味のない邦題になっちゃいましたね。

この人はパンツェッタ・ジローラモさん。サム役を演じていたのはリーランド・オーサーと言う俳優さんです。