2016年3月8日火曜日

キャロル


Carol/2015年/アメリカ/118分
監督 トッド・ヘインズ
原作 パトリシア・ハイスミス
脚本 フィリス・ナジー
撮影 エド・ラックマン
音楽 カーター・バーウェル
出演 ケイト・ブランシェット、ルーニー・マーラ、サラ・ポールソン、ジェイク・レイシー、カイル・チャンドラー

週末土曜日の夕方の回で鑑賞しましたが、公開からだいぶ日にちが立っているにもかかわらず、
まずまずの客入りでした。テレーズ役のルーニー・マーラがカンヌ国際映画祭で女優賞、そしてアカデミー賞ではキャロルを演じるケイト・ブランシェットと共に主演女優賞、助演女優賞とそれぞれダブルノミネートと言う話題も手伝ってでしょう。ぼくの周りでは映画それ自体の評判も良く、期待を胸にして劇場に足を運びました。

まずは、ケイト・ブランシェット。いやあ、オットコマエでしたね。ケイト姉さん、いや、ケイト兄さんと呼ばせてください。端的に申し上げて、抱かれたいです。おもちゃ売り場で手袋を忘れると言うやり口からランチに誘ってくどくあたり、古典的ながらも説得力があります。そして、極めつけのラストシーンのドヤ顔、震えました。鑑賞中、ああ、この映画ハッピーエンドだったら良いのになあ、と思っていたんですが、必ずしもそれがハッピーな顛末を迎えるのか否かは別として、大変に好ましい幕引きでニンマリしちゃいました。割に女優さんの顔が見切れるぐらいのアップシーンが多用されるのですが、その中でケイト兄さんの顔芸が光ってましたね。顔で語る女です。

演技の素晴らしさ、と言う点では今作に関してはやはりルーニー・マーラに軍配が上がるでしょう。デヴィッド・フィンチャー監督『ドラゴン・タトゥーの女』のリスベットとは打って変わって、フォトグラファーを夢見る可憐で純朴なデパートの売り子がキャロルとの道ならぬ恋に落ちていく様を繊細かつ力強い演技で魅せます。懐の深い女優さんですね。ベッドシーンではまさに「天から落ちてきたよう」な裸体を披露してくれます。可愛く美しいおっぱいはエロスを超えて神々しいまで。ここで、ケイト兄さんの乳首も拝めるのかと思いきや、そこはNGのようです。その代り、ジョナサン・ジョースターのような広く逞しい背中が拝めます。これはこれで見応えアリ。

『太陽がいっぱい』で著名なパトリシア・ハイスミスによる同名の自伝的小説が原作と言うことで、お話の方はクラシカルな仕立てとなっておりますが、脚色が良く台詞回しも洒落ています(ちなみにオリジナルの脚本がこちらのサイトから無料でダウンロードできます)。出てくる登場人物の内、男性がおしなべて間抜けでひどい奴に描かれているのがいささか難ありっちゃあ難ありですが、とにもかくにも50年代の雰囲気とファッション、そしてケイト・ブランシェットとルーニー・マーラをひたすら愛でる映画、と言うことで良いのではないでしょうか。

ケイト兄さんのドヤ顔にイチコロですわ。

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